リスパックの城戸取締役が先月退任され、わざわざ大阪まで挨拶に来てくださいました。
時代は廻るとはいえ淋しいものですが、城戸さんは私がリスパックに入社し東京支店に配属された時の直属の上司、しかも当時はまだ40歳にもならないイケイケの時代でしたから私もよく怒られました。
「俺は城戸じゃなく鬼が怒ると書いて鬼怒だ!!」と自称していた程の鬼上司ぶりでしたがそれでも私の頃はもうだいぶん丸くなっていたそうで、私の先輩などは灰皿を投げつけられたという伝説もあります。
現代にそんな上司がいたらやれパワハラだと大騒ぎでしょうが、怖い上司ほど離れてみると妙になつかしく感じるもの、今の軟弱化した日本に昔の城戸さんのような鬼上司の必要性をしみじみ感じます。
色々と洒落にならないエピソードは沢山あるのですが、今回はその中でも特に忘れられないものをお届けしましょう。
あれは1992年(平成4年)の年末も押し迫った頃でした。
私はある販売代理店さんを経由して、味噌汁用の別注カップを10万個(だったと思う)受注したのです。
白地のカップに茶色い文字で「おみそ汁」と印刷する、ごくオーソドックスなものでしたが大大大チョンボ! 工場が茶色でなく紫色の文字で仕上げてしまったのです!
恐らくは私が工場あてに書いた指図書の字が汚すぎた事が間違いの原因?
今思い出しても穴があったら入りたいぐらいですが、製品は10万個とも工場からユーザーのところに一括で納品されたのでこんなミスが起こっている事自体、私は知りませんでした。
その製品の約束の集金日、私が販売店さんにお邪魔すると先方の社長が真っ青な顔をして待ち構えていました。
ユーザーが印刷ミスに「これは使えない!」と激怒して製品は未使用のまま放置されているそうで、そのユーザーから代理店に対する一ヶ月分の支払いが「問題が解決するまで」保留となっていたのです。
これでは当然こちらも集金などさせてもらえません。
代理店の社長が今にも泣き出しそうな表情で私に「お前の頭、ぶん殴ってやりたいぐらいだよ!」と言ったのが今も凄く印象に残っていますが、そりゃそうですよね、その社長は何も悪くないのに私のチョンボのせいでまるまる一ヶ月分のお金を払ってもらえないのですから…。
「どうしたらいいでしょうか?」と私が相談すると「とにかく、ユーザーはメーカーの責任のある人間を連れてお詫びと後の対処について説明に来い!と言っている。」との事で憂鬱な気分で私は会社に帰りました。
社に戻って自分の席から上司の城戸課長(当時)のデスクを横目でちらっと見ると相変わらず不機嫌そうな表情で仕事に没頭しています。
こういう時はタイミングを見ればいいのに生真面目な(空気の読めない?)私は意を決して課長のデスクに近寄ると「ちょっと宜しいでしょうか。」と事の経緯を話しました。
案の定城戸課長はますます不機嫌になり「このくそ忙しい時にくだらない事で…、知るか!!」と怒鳴られました。
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(次回へつづく) |
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