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社長の経営日誌

孤高の天才 社長の経営日誌 田宮社長が好き勝手に織りなす独白です
  FILE No.780 2022.4.29  

「 プロレス週刊誌(2) 」

(前回からの続き)

83年7月、月刊プロレスが週刊プロレス(以下、週プロ)へとリニューアルし飛躍的に部数を伸ばす中、他誌は苦しい選択を迫られる事になりました。
業界の王道を行く月刊ゴングの顔的存在だった竹内宏介氏(故人)は、週刊誌になるとどうしても事件やスキャンダルを追った誌面作りが中心となり、ゴング本来の持ち味である夢のある雑誌作りがしにくくなるので、最後まで週刊化には反対だったと聞きます。

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 生き残りを賭けて遂に
ゴングも週刊化

しかしそんなセンチメンタリズムも時代の要求の前にはもはや通じなくなっていました。何しろ雑誌そのものが生き残れなくては夢もロマンも語れないからで、それも週刊化に踏み切るなら何としても2番手、それ以上の遅れは完全脱落となる瀬戸際の状況だったからです。
かくして84年5月、週プロより10か月遅れで週刊ゴング(以下、週ゴン)が誕生、ここから20年以上に渡る「プロレス週刊誌戦争」が開戦しました。
この後、週ゴンよりさらに4か月ほど遅れて月刊ビッグレスラーも週刊化(週刊ビッグレスラー)、一時期は週刊3誌が店頭に並ぶ過当競争となりましたが、流石にこれはあまりにも無理がありました。私ですらビッグレスラーだけは立ち読みで済ませていたほどですから(笑)売れ行きもさっぱりだったようで半年ほどで廃刊、さらに週刊化の波に乗り遅れたそれ以外の雑誌も自然淘汰され、結局は週プロと週ゴン、後は裏ネタ中心で独自路線を歩む新聞、週刊ファイトの老舗3誌(紙)が生き残ったのです。

88年4月、新日本プロレスと全日本プロレスのテレビ中継が同時期にゴールデンタイムから降格、プロレス界は厳しい冬の時代に突入しました。
その一方で平成になるとプロレス団体の離合集散による細分化が顕著となり次々とインディペンデントが出現、空前の他団体時代となりました。
それらの弱小団体はそもそもテレビ局のバックアップなど望むべくもありませんでしたが、その代わりを果たしたのが雑誌で、ファンは毎週発売される週刊誌によって各団体が展開するストーリーを追うようになりました。
勿論テレビの絶大な影響力とは比べ物になりませんが、これによって「テレビの無いプロレス団体は存続できない」と言うこれまでの定説は完全に覆され、平成のプロレス界は新日本&全日本のメジャー団体を中心にインディ、女子、格闘技色の強いUWF系団体と理想的な棲み分けが実現、冬どころか一転してバブル人気に沸きかえります。
ブームの牽引に雑誌が果たした役割は大きく、特に売り上げナンバーワンを誇った週プロは文字通りの黄金時代、何しろ最盛期の実売り数が20〜25万部(!)と言う驚異的な数字を叩き出していました。
週刊文春とか週刊新潮のような一般誌では無くプロレスの専門誌が毎週20万部売れると言う信じられない奇跡、その立役者となったのが2代目編集長のターザン山本氏で、批判精神と毒を含んだ独特な文章力と秀逸なキャッチコピーでファンを魅了、「活字プロレス」は一つのカルチャーとなり、ファンはプロレスについて考える事、語る事、書く事の喜びを学びました。

一方、週プロには及ばないものの正統派路線の週ゴンも好調で、私のように好対照な両誌を楽しむ熱心なファンも多くいましたが、私の場合さらに週刊ファイトにも手を出していたので毎週3誌(紙)を読むのは大変でした。
インターネットやSNSが無いので情報は紙が全て、それこそ隅から隅まで(「すみからすみまで角(すみ)純一です」なる関西ローカルラジオ番組があったな笑)一文字一句漏らさず読んでいたのでとにかく時間がかかり、ましてや社会人になりたての頃は仕事が激務で毎晩帰宅も遅く、買ったは良いが読んでいる暇が無かったのです。
それでも眠い目をこすりながら少しずつ読み進めていたものの3つ読み終わらぬうちに新しい号の発売日を迎えた事が何度もありました(苦笑)。

その当時の週刊3誌(紙)の発売日は毎週木曜日(現在の週プロは水曜発売)でしたが、週プロのベースボールマガジン社や週ゴンの日本スポーツ出版社が最寄りの水道橋駅、お茶の水や秋葉原の駅売りや一部書店、プロレスショップなどでは発売日前日、つまり水曜日の午後には週プロ&週ゴンを買う事が可能で、都内の熱心なマニア達はこぞって水曜午後にはこれらの場所に買いに来ていました。
私はいつも事務所から徒歩圏内の秋葉原駅のスタンドで仕事の途中や帰りに買うのが常でしたが、来る人来る人がひっきりなしに週プロ&週ゴンを買っていくので店のおばちゃんが目を丸くして「この2冊よく売れるわね〜! これ発明(!?)した人偉いわね」と言ったのには大笑いしたものです(笑)。
ある日、忙しくどうしても水曜日に買いに行けず、不本意ながら木曜日(と言っても本来の発売日)にスタンドに行ったら私に気が付いたおばちゃん、「あら、昨日来ないからあんたの分よけといたげたよ。」と2冊を差し出してくれた時は感動しましたが(涙)、何年か前に海外視察でご一緒した明日香出版社の石野社長に当時のお話をしたら「ええ〜っ」と絶句されていました。
出版業界のルールで雑誌を発売日前に売るのは厳禁、それをやると取次店から卸してもらえなくなるのだそうで、こちらは30年以上も前から現在までそれが常識だったので逆にびっくり!やはりプロレス村の常識は世間の非常識だった(笑)!?

(次回へ続く)
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