勤労感謝の日の11月23日、今年も倉敷市真備町で開催された仮装行列イベント「1000人の金田一耕助」(FILE No.309,310「平成の金田一耕助」参照)に参加しました。
金田一耕助の生みの親である故・横溝正史先生がこの地に疎開していた時代に小説を書いていた事から、ここ真備町は金田一耕助の生誕の地と言われています。
金田一耕助は勿論架空の人物ですが、劇中の設定では大正2年(1913年)生まれ、という事は今年は生誕100周年の記念イヤー、そんな節目の年にイベントに参加できて光栄です。
因みに金田一と言うと岡山県のイメージですが設定では東北出身という事になっています。それにしては映画やテレビに登場した歴代金田一、東北弁の訛りはありませんでしたが…。
昨年に続いての参加なので大体要領はわかっていますが、当日は下駄履きで6〜7kmを練り歩く事になるので、昨年同様足慣らしをしておこうと本番の一週間前から特訓を始めました。
通勤時や帰りに下駄に履き替えて家と駅、あるいは会社と駅の間を歩いていましたが、スーツ&赤いマフラーに下駄履きの男、通行人は何者と思った事でしょう(苦笑)。
今年は足袋を購入したものの、それでもやっぱり足が痛い…。
これで歩いていた昔の人って本当に凄いですね〜。
そして一年ぶりに引っ張り出して来た金田一の衣装ですが、試着してみるとあらら、ぶかぶかでサイズが合わない!
この着物、昨年インターネット通販で購入したオーダーメイドなのですが、先々太ってしまった時の事を考えて少し大きめに作ってもらったのです。
その為、去年の段階でも結構ぶかぶか気味でしたがご承知のように今年私が過酷なダイエットで10kg近くもウエイトダウンしてしまったので去年に輪をかけて大きくなってしまい、まるで子供が大人の服を来ているような状態に…。
こりゃあ来年は作り直しが必要です…。
いよいよ本番の日、数ヶ月前にBS放送で「八つ墓村」(91年、テレビ版)がオンエアされたので録画しておいたものを前夜に観賞してモチベーションを高め準備は万端、衣装一式とトランクを抱え岡山行きの新幹線に乗りました。
金田一愛用のアンティークなトランク(旅行鞄)は昨年のものより一回り小さいサイズをネットオークションで落札、おかげで持ち運びが少し楽になりました。
しかし前回の物と同様、こちらも鍵が開かないのが難点です(苦笑)。
有り難い事に今年もシーピー化成岡山支店のエース、野内さんが岡山駅まで車で迎えに来てくださいました。
シーピー化成というと当社担当の脇本氏もよく当ブログに登場しますが野内さん、社内では脇本氏に対して「同じ登場するにしても俺の場合おまえと違って良い話で取り上げられる、そこが人徳の違いだ。」と自慢しているそうです。そこまで言うか(笑)!
約束の時間より少し早めに岡山駅に到着した私、今年も駅のトイレの個室で金田一耕助に華麗なる変身! いや〜、この駅のトイレの個室広くて着替えやすいですわ。
待ち合わせ時間となりいざトイレを脱出、お隣りの女子トイレに並ぶ長蛇の列の奇異な視線を浴びながら堂々と改札口に向かったのでした。
野内さんと合流して真備町に向う前にまず岡山駅からほど近い吉備路(きびじ)文学館に立ち寄りました。
ここでちょうど「横溝正史の世界 〜金田一耕助・生誕100年〜展」が開催されていたからです。
金田一の衣装で「どうも〜、金田一です。事件と聞いて来ました。」と入っていったら受付のお姉さんに大ウケでした(笑)。
館内は残念ながら撮影NGでしたが、貴重な資料の数々が展示されており、外の立派な庭園でも楽しめました。
しかしだぶだぶの着物がずり落ちてきそうで気になること…ズボンならベルトできつく締める事が可能ですが着物の場合、腰紐だけなのでどうもたよりなく感じます。あ〜、やはり来年は早めに手を打とうっと…。
文学館を後にした我々は昼食を挟んで、いよいよイベント参加者の集合場所である清音駅へ。
駅周辺には今年も既に扮装した多くの金田一耕助が集結していました。
そして金田一以外にもおなじみの佐清(すけきよ)、「八つ墓村」の田治見要蔵や小竹、小梅婆さん、「悪魔の手毬唄」のおりん婆さん…女性の参加者も意外に多いのです。
しかし野内さんと二人で遠巻きに見ながらあの人が一番インパクトがあるねと話していたのがおりんと同じく「悪魔の手毬唄」に登場する被害者、由良のやっちゃんこと由良泰子でした。
割と大柄の男性が振袖姿で顔を真っ白に塗って女装されていたので、不気味さ全開(失礼!)だったからです(笑)。
因みに今回の参加者は総勢約80人、昨年は確か70人だったので回を重ねる毎に着実に増えているようです。
私も来年は金田一以外のキャラに挑戦しようかな…。
12時半、いよいよ行進開始、昨年は少し寒かったのですが今年は嬉しい事に快晴、一応「雨天決行」となっていたものの、雨が本当に心配でしたからほっとしました。
数年前に雨の日が一度あったようですが、慣れない下駄でその中を長時間歩くのはさぞかし辛かった事でしょう。
コースは昨年と大体同じで、金田一のデビュー作「本陣殺人事件」の中で実際に登場する場所を見て廻り、今回も各ポイントでは町民の方々が役者となって小説のワンシーンを再現する惨劇ならぬ寸劇で楽しませてくれました。
古谷…じゃなくて一行はやがて岡田村役場跡に到着、ここで今年も倉敷市の市長である伊東香織さんが参戦して皆の前で挨拶、そしてこの度、横溝正史先生の奥様であった孝子さん(故人)の残した貴重な着物が倉敷市に寄贈される事になり(これまでは形見分けされた親戚の方が保管されていた)セレモニーが執り行われました。この着物は今後、横溝正史疎開宅に展示されている横溝先生の着物と一緒に並べられるそうです。
今回は町のあちこちに金田一ファンならすぐにわかる名台詞の数々がポスターになって貼られていて我々を楽しませてくれました。
「獄門島」で了然和尚が呟く、「きちがいじゃが仕方がない」まで登場、こ、これはまずいのでは(笑)?
やがて我々は昨年は行かなかった千光寺へ。
「獄門島」ではこの場所をモデルにしたお寺が名前も全く同じで登場します。
このお寺の境内の梅の木に鬼頭花子の死体が逆さ吊りでぶら下げられる衝撃的な場面は有名ですが、この死体を前に了然和尚がお経を唱えながら前述の謎の言葉、「きちがいじゃが仕方がない。」を呟きます。
獄門島には与三松(よさまつ)という精神病患者が一人住んでいるので彼が犯人で、和尚はその事を知っているのか? …しかしそれならば「きちがいだから仕方がない。」と言うのが正確なはず、「きちがいじゃが仕方がない」とはどういう意味なのでしょう?
後々まで金田一を、そして読者を悩ませるその言葉にはあっと驚く全く別の意味があったのです!それは果たして…?
ネタバレになるので気になる方は是非原作をお読みください。
あ〜、こんな事書いていたら興奮してきて私も久々に読みたくなって来ましたよ(笑)。
千光寺を前でそんな事を考えていたら突然、入口から石段を降りて了然和尚が現れたのでびっくり! しかも原作のように手には提灯を提げて(昼間なのに 笑)!
てっきりこの人も町の人が仮装しているのかと思っていたら何と本物のこのお寺の住職さんでした。
どうせなら劇中のように花子の死体を木にぶら下げてあの台詞を言って欲しかったところですが、やはり神聖なお寺だけに派手なパフォーマンスは御法度だそうです、残念!
最後は真備ふるさと歴史館に到着、紙芝居を楽しんでお汁粉をご馳走になって夕方4時半、無事終了となりました。
去年はここが折り返し地点でさらに川辺駅まで歩きましたので(終了時刻は同じぐらいでしたが)今回は歩く距離自体は少し減ってそのぶん歴史館や疎開宅でゆっくりする時間を増やしたそうです。
歴史館の近くには去年まではなかった小さな水車が作られていました。
そして水車からは日本刀を運ぶ琴糸が! そう、「本陣殺人事件」の密室トリックを再現しているのです。夕暮れの中、琴糸によってぶら下げられた日本刀、何ともシュールな光景でした。
車で再び迎えに来てくれた野内さんに岡山駅まで送ってもらい、無事大阪に帰りましたが、流石に足が疲れました。
実は私この前日、恐怖の筋力トレーニングに行っていたのです。
トレーニングは一回ごとにローテーションで上半身と下半身を交互に行うのですが、前日が上半身の日でまだ助かりました。もし下半身をやっていたら…多分この日は途中で歩けなくなったでしょう。
イベントの様子を写真に収めて来ましたのでご紹介します。昨年と同じ場所なので今回はかなり掲載写真を厳選しましたので、昨年のアルバムと二つ合わせてお楽しみ頂ければたっぷりと金田一ワールドが楽しめます(こちらをクリック)。
原作を読むか、映像が観たい欲求不満に駆られていたらタイミング良くスカパー!からのダイレクトメールで長期契約者への特典として12月のみ好きな未契約チャンネルの無料視聴の特典が頂けましたのでTBSチャンネルをリクエストしました。
嬉しい事に今月の同チャンネルでは古谷一行の金田一作品(但し80〜90年代の長時間ドラマ版)が計17作もオンエアされるからです。あ〜、これまでにも増して今月もテレビっ子に拍車がかかりそうです(笑)。
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