FILE No. 964 「ザ・ハングマン(2)」~生誕45周年記念~

ザ・ハングマン(2)」~生誕45周年記念~
(前回からの続き)
80年11月、金曜夜9時でスタートした「ザ・ハングマン」の虜になってしまいました。毎回のパターンは通常の刑事ドラマと同じで先ず事件発生…と言ってもそれらは表面上は警察が自殺や事故で処理したものばかりで、その裏に潜む犯罪をあぶり出す為にゴッド(ハングマンの創始者である首領)がハングマンたちに指令を出します。
調査により事件の真相が判明すると悪人たちに対しハンギング、即ち処刑が執行されますがあくまで殺人はNG、ここで言う処刑とは悪事を明るみにして警察に逮捕させ、社会的に抹殺する事を意味するのは前回記した通りです。
この悪人たちを自白させる為のハンギングが最大の見せ場で、車やゴンドラごと空中高く吊り上げる、目隠しして両手両足を縛り電車が迫る線路に寝かせる、時限爆弾やダイナマイトで脅す…etc、毎回趣向を凝らした仕掛けが展開されました。
ハングマンが「命が惜しかったらおまえたちのやった悪事を洗いざらい吐け!」と警告、犯人グループは当初は「こんなのはただのこけおどしだ!皆、一切喋るんじゃないぞ!」と高を括っていますが、迫りくる死の恐怖に一人、また一人とギブアップ、「止めてくれ~!首謀者は〇〇だ~!俺は殺しまでするつもりは無かったんだ!」
「何を言う、あんなに取り立ててやったのにその恩を忘れやがって!俺は殺人までは指示していない!」などと仲間割れし自滅するのが毎回のお約束の展開でした(笑)。
それらはマイクやスピーカーで街に流され、あるいはカセットテープやビデオテープ(懐かしい)に録画録音されており、そのうちサイレンを鳴らしてパトカーが到着、犯人たちは警察に連行され、野次馬に紛れてその様子を見届けたハングマンが雑踏の中に消えていくのが定番のラストシーンでした。
ここで放送当時から感じていた素朴な疑問の数々、それも「ザ・ハングマン」の根本を揺るがす謎に迫ります。
確かに犯人は罪を自白していますが、それはあくまでハングマンの拷問によるものであり、劇中で具体的な証拠が提示された事は殆どありませんでした。
・・と言う事は犯人が「命の危険があったから」「無理矢理自白させられた」と開き直ってしまえば起訴出来るのか?例え裁判に持ち込めても維持出来るのでしょうか?
まあ警察も一旦逮捕した以上はメンツにかけて証拠固めをするのでしょうが…。
毎回ハングマンたちは顔も隠さず素顔で犯人や事件関係者に接触しているので、モンタージュ写真によりすぐにハングマン自身が逮捕されてしまうはず、それに毎回あれだけ派手にハンギングを繰り返しているのに世間の人々が誰もハングマンの存在を知らない?のも不思議でした。
色々とツッコミどころ満載のドラマですが(笑)これらの謎を解くキーワードがゴッドの存在です。
第1話のテロップで「元国際機関の中心人物とも想像されるが正体不明」と流れただけで、結局最後まで謎の人物だったゴッド、友達ともよく「ゴッドって一体何者やねん?」と話していましたが、劇中ではゴッドからハングマンに警察関係の情報が持たらされる描写が度々あり、警察上層部と極秘のパイプがある事が示唆されていました。
私の推理ですが、ハングマンは法律の壁によって解決出来ない犯罪を撲滅する為の政府非公認の秘密組織かもしれません(「VIVANT」の別班みたい)。
それなら政府筋からの様々な圧力や情報統制によりあれだけ派手に暴れているハングマンに警察の手が伸びず、世間が存在すら知らない事も何とか辻褄が合います。
ハングマンのギャラ(年俸一人3千万、途中から4千万にアップ)はゴッドの私財と言う事になっていますがこれも怪しい、恐らく官房機密費から出ているはずです(笑)。
余談ですが、新日本プロレスになんと、ザ・ハングマンなる外国人選手が来日した事がありました。
それも全く偶然、「ザ・ハングマン」放送開始と同時期の80年11月、「第1回MSGタッグリーグ戦」にアンドレ・ザ・ジャイアントのパートナーとしての参戦でしたが、ご存じのように「ワールドプロレスリング」は金曜日の夜8時、「ザ・ハングマン」の前番組なので、折角ならタイアップ企画があっても良かったのにと思います。
例えば「ザ・ハングマン」出演者が来場してリングに上がりプロレスラーのザ・ハングマン(ややこしい 笑)に花束を渡せばドラマの恰好のPRになったでしょう。ハングマンにすれば(えっ、アンドレじゃなくなんで俺だけ花束をくれるの?)と不思議がるでしょうが(笑)。
(次回に続く)


