FILE No. 967 「ザ・ハングマン(5)」~生誕45周年記念~

「ザ・ハングマン(5)」~生誕45周年記念~
(前回からの続き)
私にとって待望の「ザ・ハングマンⅡ」のスタートでしたが、正直に言いますと個人的には前作の「ザ・ハングマン」と比較し物足りなさを感じていました。
その理由ははっきりしていて、前作では戸籍を抹消し、顔を整形し、指紋まで消して、
“死人”となったハングマンがⅡからはゴッドによって新しい戸籍(勿論偽物だが)を与えられ、表では正業に就いた事です。
具体的にはマイトがカジノのオーナー、デジコンは今で言うパソコンショップ経営、オショウはその名の通りお寺の住職(パンからコードネームが変わったのはその為!)…と言った具合で「必殺仕事人」同様、ハングマンはあくまで裏稼業となったのです。
しかし、何度も書くように彼らが死人であるが故の孤独や哀しみを描いた初期のハードボイルドな展開に魅かれた私にはいささか拍子抜けの感が否めませんでした。
また、前作との相違点としてハングマンが悪人たちに制裁を加える時、予め事件の被害者の身内(家族や恋人ら)に招待状が送られるようになりました。
例えばこんな具合…「私腹を肥やす為、貴方のお父上に全ての罪を被せ死に追いやった悪人たちに社会的制裁が加えられます。本日〇時、新宿の〇〇広場にお越しください。」
ハンギングの様子を被害者の身内に直接見せる事により少しでも無念を晴らしてあげようと言う趣向ですが、考えてみれば手紙を受け取った人が警察に通報し現場を張り込まれるリスクがありますのでゴッドがよく許可したものです(笑)。
翌年はシリーズ第3作目となる「新ハングマン」(83年7月29日~84年2月10日)がスタート、ハングマンⅢでは無く敢えてタイトルを新ハングマンとした通り、設定が一新されました。
主役は名高達郎さん演じるE・T、前2作のデジコンとは別人の設定ですが名高さんはこれで3シリーズ連続の登板、さらにこの後4作目と6作目でも主役を務め文字通りハングマンの顔となります。
他のメンバーは全て新顔で個人的には歴代女ハングマン第一位(笑)のマリア(早乙女愛)、ヌンチャク(小林竜一)、チャンプ(山城新伍)…前2作より少ない4人となり、以後のシリーズも4人体制が定着します。
ハングマンを組織した2代目のゴッド(天知茂)は病気療養中の設定で第1話のみの登場、以降はナレーション(後述)のみの出演でした。
例によってゴッドの正体は不明、そして初代ゴッドとの関係も描かれず、と言うより私は当初、今回のハングマンは前2作と全く繋がりのない世界観の物語と思っていましたが、第1話でハングマンのメンバーを集めた執事の園山(平田昭彦)がゴッドに「過去のハングマンと比べても今回は最強のメンバーです。」とプレゼンするシーンがありましたので、一応は続編のようです。
新ハングマン オープニングナレーション (声はゴッドの天知茂)
「ハングマン諸君、今この国は豊かである。
枝もたわわに果実を付けた大木のように栄えている。
しかし、果実の中には腐った実もある。
ハングマン諸君、すえた臭いを放つ果実が大木そのものを枯らさぬうちに、
人知れず摘み取って欲しい。但し枝一本、葉一枚動かしてはならない。
蝉時雨が降り注ぐ庭を見ながら…ゴッド。」
確か夏が終わる頃には季節的におかしいので「蝉時雨が…」の部分はカットされましたが、それにしても毎回あれだけ派手にハンギングをしていて、何処が「人知れず摘み取る」なんだ!?とつっこみたくなりましたよ(笑)。
この後シリーズは
「ザ・ハングマン4」(84年9月21日~85年4月5日)
「ザ・ハングマンⅤ」(86年2月7日~8月22日)
「ザ・ハングマン6」(87年2月20日~6月5日)
「ザ・ハングマンGOGO」(87年6月12日~9月25日)
と続き、通算7作で幕を閉じました。
Ⅴでは初の試みとして主役が女性リーダー(パピヨン=演・山本陽子)になる等、様々な新機軸が取り入れられましたが、シリーズを重ねる毎にコメディタッチ、コミカル路線が強調され、初期のハード路線を愛した(しつこい!)私にはとても同じシリーズには見えませんでした…。
(次回へ続く)

