ついに200回を突破したという事で今回からタイトルバックが一新されました。
往年の「太陽にほえろ!」「特捜最前線」のオープニングのように周期的に変わる方が楽しいですよね? 超獣ブルーザー・ブロディ(FILE No.180「超獣メモリアル」参照)のコスプレをしている図を再現してもらいましたが、プロレスには疎いデザイナーさんの苦心の作です。皆さん、有り難くご鑑賞下さい…。
さて今回のテーマは、以前にも書いた事がある(FILE No.025参照)お刺身用のトレイ(容器)についてです。
過剰供給で新製品ラッシュの続くこの業界、最近各社が力を入れているのが刺身を盛り付ける時に底に敷く「けん」を減らす事ができるトレイです。
けんとは大根を細くカットした、刺身のツマの一種で消化を助けたり解毒効果もあるようです。皆さん、必ず刺身とともに食べましょう。
大葉や小菊などとともに刺身には欠かせないけんですが、スーパーが購入するのは100g当たり200〜300円ぐらいだとか…。
年々、魚介類の価格が高騰していく中、このけんを上手に減らせばコスト削減に繋がるのでそれに適した刺身容器が開発されました。
その秘密は簡単、中身の入っていない状態の写真を見てもらえばわかるように、底面部分がひな壇のようになっているのです。
これによって、けんを減らして刺身を盛り付けてもボリューム感が出せるようになりました。
早速この容器をあるスーパーに紹介しました。
このスーパーは競合先から従来型の刺身容器を購入されていたので、切り替えに成功すれば当社にとっては売り上げ増になります。
バイヤーの反応は良かったので見積書を提出し価格を比較してもらうと、現行品 に比べこちらの提案品が相当高い事がわかりました。
他社がこのスーパーに納入していた従来型の価格訴求タイプの刺身容器は予想以 上に安い価格だったのです。
さらに当社の動きを察知した他社の営業マンは慌てて「うちでも用意できます。」 と当社提案とは違うメーカーのけん削減容器のサンプルを持って来ました。
しかしバイヤーによると他社は、サンプルだけは持ってきたものの見積もり書はいつまでたっても持参せずほったらかしだったそうです。
こちらの勝手な推測ですが、「どうせこんな高い容器使うわけがない。」と高を括っていたのでしょう。
暗礁に乗り上げたかに見えましたが、ライバルが油断しているのを聞いた私はむしろビジネスチャンスと直感しました。
当社の営業は、容器のサンプルにはかりまで現場に持ち込んで実際にこの容器を使えばどのぐらいけんを減らす事ができるかを検証してもらいました。
すると、これまでの三分の一の量の使用で済む事がわかったのです。
細かく金額を計算してみると、容器の価格は上がってもそれ以上にけん削減でコストダウンになる事が判明しました。
この事をよくバイヤーに理解してもらい、メーカーさんに同行してもらってPRしたり、容器変更に伴う刺身の盛り付け方を工夫してもらったり、色々なサイズや柄をテスト販売してもらったりという作業が始まりました。
現場に密着しての提案活動が実って数ヶ月がかりでとうとう正式採用(他社品からの切り替え)となったのです。
他社の地団駄踏む光景が目に浮かびますが、これは決して成功事例をひけらかしているのではなく、全ての答えはお客様が持っていて現場にあるという事なのです。
常に現場重視の姿勢を忘れない事、そして最後まで諦めない粘り強さと熱心さが 人の心を動かす事を改めて実感しました。
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