FILE No. 882 「新幹線大爆破」
「新幹線大爆破」
飛行機より断然新幹線派の私、遠くて余程時間がかかり過ぎる場合を除けば、99%新幹線を使います。理由は空は怖い
から(苦笑)、冗談ではなく何かあっても最悪陸地なら何とかなりそうですが、空だけは逃げ場がありません。同じ意味で船も苦手かも(笑)。
新幹線と言えば昨年10月を最後に車内販売が終了、アイスクリームやコーヒーをしょっちゅう買っていた私としては本当に残念です。私が子供の頃なんてまだビュッフェ(食堂車)があり、たまに乗車すると連れて行って貰うのが楽しみでした。時代の流れとは言えだんだん風情が無くなっていくようで淋しい限りです。
そこで今回はそんな古き良き時代に制作された私の大好きな映画、「新幹線大爆破」(75年公開、東映作品)をご紹介します。
初見は80年代のテレビ鑑賞、ここ数年「スカパー!」やBSでこれでもか!とばかりに何度もオンエアされており、私も通算すると何度観た事やら(10回以上は確実!)この作品に限らず本当に好きな作品は繰り返し何度も観る私、何度観ても面白いものは面白いし飽きないんだよ(笑)!
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ある日、国鉄(現在のJR)に東京発~博多着の新幹線ひかり109号(*のぞみの開通はこの17年後)に爆弾を仕掛けたと言う脅迫電話がかかって来る。
その爆弾は列車が時速80Km以下に減速すると爆発すると言うとんでもないシロモノだった。
犯人は倒産した町工場の社長である沖田(高倉健)とその仲間たちで、会社が潰れ家族にも三行半を叩きつけられ自暴自棄になった沖田は人生の一発逆転を狙い大胆な犯行に及んだのだった。
沖田は爆弾の設置場所と解除方法を教える条件として500万米ドル(当時レートで約15億円)を要求、乗客乗務員1500人が人質にとられた前代未聞の事件に直ちに国鉄と警察は緊急対策本部を設置した。
国鉄の運転指令長・倉持(宇津井健)は時間を稼ぐ為、ひかり109号の速度を120Kmまでに抑えるよう指示、これで終点の博多に到着するまでのタイムリミットは9時間となった。
本来の停車駅であった名古屋、大阪をノンストップで通過した事で事情を知らない乗客たちが騒ぎ出し、確実に事件解決の見通しが無ければかえってパニックとなるだけとの判断から爆弾の件をひた隠しにしていた乗務員たちも暴動寸前の車内にとうとう本当の事を話してしまう。
警察、国鉄との息詰まる攻防の末、主犯の沖田は身代金をゲット、約束通り爆弾の解除方法を連絡して来た。爆弾の設計図を都内の喫茶店に預けてあるから取りに行けとの指示に警察はすぐ指定された店に向かうがその店で不慮の火災が発生、設計図が焼失してしまった!
倉持運転指令長は急遽テレビに出演、「図面は燃えてしまった。頼む、爆弾の解除方法を連絡してくれ!1500人の命を救ってくれ!」と必死に沖田に呼びかけるが連絡は無く、しかも政府はひかり109号が都市や九州工業地帯で爆発した際の二次災害のリスクを避ける為、非情にも乗客を見殺しにして山口県の田園地帯で列車を停めよと国鉄に圧力をかけて来る。刻一刻と迫るタイムリミット、果たしてひかり109号の1500人の運命は!?
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この乗り物が一定速度を下回ると爆弾が爆発する為停まれなくなると言うアイディアは約20年後(94年)の米映画「スピード」でも使われ(こちらはバス)、高倉健と宇津井健、実際の画面上では共演しない二人の健さんの対決を主軸に最初から最後まで息もつかせぬスリルとサスペンスの連続ではらはらさせてくれます。
それにしても驚くのはこの映画、実は国鉄から安全性が売りの新幹線のイメージダウンになると一切の協力を断られているのです。
肝心の新幹線が撮影出来なければ映画が成り立たない…暗礁に乗り上げた時、上から出た命令はなんと「隠し撮りとミニチュアで行け!」(笑)。
かくして走る新幹線は遠方からの隠し撮り(盗撮!)及び精巧に作られたミニチュアによる特撮、新幹線車内はオールセットでの撮影によりこの名作は完成しました。
いや~、昭和の職人魂の成せる業ですね(笑)。
因みにこの時使用された新幹線のミニチュアは5年後「ウルトラマン80」第7話「東京サイレント作戦」に流用されています。
日本のパニック映画の最高峰と評価する声も多い(個人的に異議なし!)作品だけに是非多くの方に御覧頂きたいですし、いつかリメイクされたら良いのに、とずっと昔から思っていましたが、先日ネット記事で実に49年ぶり、草彅剛主演、樋口真嗣監督のコンビでリブート作品(最近ではリメイクでなくこう言うのか)として制作が決まりました。どうせなら劇場の大画面で観たかった私としてはネットフリックス配信限定と聞いて肩透かしでしたが、これを機に旧作の方も注目されるでしょうし、嬉しい限りです。
しょっちゅう新幹線に乗っていると雪や台風、事故の影響などで途中で停まってしまう事も珍しくありませんが、そんな時(動かない
のも困るけど停まらなくなっても困るなあ。)とよくこの映画の事を思い出します。
このブログの書きかけの途中、高崎から東京への新幹線に乗車中、突然車内販売がやって来て一瞬目を疑いました。上越新幹線ではまだ生き残っていたのか(涙)、おかげで半年ぶりにアイスクリームを味わえました。
東京で東海道新幹線に乗り換えて新大阪に向かう途中疲れから居眠りして降り損なう大チョンボ、次の新神戸で降りて反対車線にすぐ列車が来たのでわずかなタイムロスで済みましたが、「新幹線大爆破」の中で新大阪でどうしても降りたかった乗客が「頼むから停めてくれ~!」と絶叫するシーンが脳裏に浮かびましたよ(苦笑)。
大阪~東京を40分で移動する夢の超特急、リニア・モーターカーの開通には間に合いそうにありませんが、体力気力が続く限り世界一安全な新幹線でこれからも出張&遠征に出撃します。