FILE No. 923 「営業日報」

「営業日報」
さて、今回は真面目にビジネスネタ、営業日報(業務日誌)についての話です。
我が社では毎日朝礼でいわゆる報連相、「事前の報告、連絡、相談を徹底します。」を唱和していますが、営業日報はその日一日の業務内容を報告する為の大切なツールです。
職種にもよりますが、社員に日報を書かせていない会社はまず無いはず、と思っていたら灯台下暗し、もう20年ぐらい前、我が社のメイン仕入先であるメーカーの営業と話していた時、「うちは日報がありません。」と聞き驚愕しました。
この会社、毎日どうやって報連相をやっているのだろう?と言う素朴な疑問、失礼ながら以前からここは何かにつけて縦や横の連係が悪いと感じていましたが、理由が分かった気がしました。その会社の社長とは懇意にさせて頂いていましたので、今度会ったら社員に日報を書かせるよう進言しようと口にするとその営業員、顔を真っ赤にして「うちの社長に余計な事を吹き込まないでください!」(笑)、手間で面倒な事は一切したくない典型的サラリーマンの発想です(笑)。因みにそのメーカーさん、それから数年後に見事にISOを取得、業務効率の一環として営業日報が導入されたと聞いてほっと一安心…って、別に他所の会社の心配をする必要も無いのですが(笑)。
我が社でも営業の社員には所属長経由で日報の提出を義務付け、毎朝チェックしています。これを書いている2025年1月現在、13人分の日報を拝読していますが、私が出張などで一日いないとこれが倍、長期不在となるとそれこそ100以上になり、以前の紙の時代は出社すると机の上に膨大な書類が積み上げられていました。
それらの一つ一つに目を通し押印、必要に応じて赤のボールペンでコメントを記入して返していましたが、あまりにもくだらない事を書いている奴には大きく「馬鹿野郎!!」と書く事もありました。今こんな事をやったらたちまちパワハラで訴えられます(苦笑)。
実は長年紙の日報にこだわっていたのはアナログ人間の私でした。
私が社長になってパソコンを導入した頃から日報を手書きではなく、パソコンで作成する社員が増えたのは良いのですが、目を通すとまあ酷い事(涙)、まず変換ミスによる誤字・脱字の連発、そしてコピペ丸出しの手抜き、よくまあこんな報告書を会社に提出するものだと呆れはてました。
私も含め現代人はあまりにも字を書く機会が減っていますので、外部に出す見積書や契約書の類はともかく、営業日報ぐらい手で書け!と厳命、手書き日報の時代が20年ぐらい続きましたが、デジタル化の波には逆らえず数年前からSansanなる営業支援サービスを導入しました。これは日報だけでなく名刺や企業情報、与信情報、仕事の進捗ぶりなどを一元管理出来るサービスで、私自身は日報を読むぐらいしか利用しない為ピンと来ませんが、社員によると業務効率化には随分と役立っているようです。
リスパックでサラリーマンをやっていた頃も当然営業日報はありましたが、その頃は手書きの時代、今思えば直属の上司だった城戸課長はよく私の汚い字を読んでくれていたものです(苦笑)。ある時、飲みに連れて行って貰って「君たちが書く日報が俺の情報源で、これが無いと俺は何も出来ないんだよ。」と言われた事がありましたが、今では私もその気持ちがよくわかります。常に現場にいるわけでは無い上司は部下から適切な報告が無いと舵取りを誤りかねないからです。城戸課長は「いくら書けと言ってもなかなか書かない奴がいる。」とぼやいていましたが、私はその点(だけ)は良い部下だったと自負しております(笑)。
日報の大切なポイントとして我が社の場合、必ずその日のうちに提出する事を義務付けています。これも随分昔の話、ある朝出社するとグループリーダー以下、数人の営業員が揃いも揃って前日の日報を書いている姿を見て(あ~、駄目だこりゃ)と思いました。
原則日報未提出で帰る事を禁止していますので、紙の時代には出先から直帰した社員が自宅で書いた日報を事務所宛てにファックスしていたものでした。私に言わせれば翌日書いた日報なんて小学生が夏休みの宿題の日記をまとめて書くようなもの、何の意味もありません。情報は生もの、折角現場で感じた事、気が付いた事があっても人間なんて帰って酒飲んで一晩寝たらその大半を忘れてしまうからです。
目の前の雑務に忙殺されてついつい後回し…日報を書きたがらない営業員が必ずする言い訳ですが、私はリスパック時代から事務所に帰って来たらどんなに忙しくても必ず先ず日報を書くように習慣付けていました。その日を振り返る事で、頭の整理になりこれからやる事務処理の優先順位が明確になるので効率が上がるからです。
タミヤ入社後、当時あった開発部(新規開拓専門部署)に所属した時も勿論日報を上司に提出していましたが、この上司が管理能力ゼロの人で(現在は某同業でくすぶっています笑)自身もプレイヤーの為自分の仕事で忙しく、いっこうに日報を読んでくれませんでした。
それでも律儀に毎日提出していたらその人の机上に私の日報が一週間分ぐらい積み上げられましたが、そこには訪問先での様々な情報や次回の宿題などを記載しており、返してくれないとこちらも仕事になりませんので、上司未読のまま勝手に回収しました(苦笑)。
現在はこういう管理職の仕事が出来ない名ばかり上司は一掃しましたが、部下からすればそれなりの手間をかけて書いた日報を読んでもらえないのは本当に辛いものです。
前述のように不在期間が長いと読む量も膨大となり流し読みになりがちですが、日々戦場で戦ってくれている営業員に敬意を表して拝読するのは責務だと思っています。
営業の仕事はブラックボックス、手を抜こうと思えばいくらでも抜けますが人間そうそう嘘の報告は羅列出来ないものですし、やはり本当に活発な営業活動をしている人の日報は読んでいて面白く業界やマーケットの情報収集に役立っています。
昔のように赤ペンを使う機会が激減したのがいささか淋しいですが(笑)これからも営業日報を活用していきます。