FILE No. 982 「幻の来日プロジェクト(2)」~“地獄の墓堀人” ローラン・ボック 追悼記念~

「幻の来日プロジェクト(2)」~“地獄の墓堀人” ローラン・ボック 追悼記念~

(前回からの続き)

“地獄の墓堀人”ローラン・ボックをどうしても日本に呼びたいと、私の頭の中の妄想「来日プロジェクト(仮)」は広がる一方でした。
ミート&グリートの他にツーショットマニアの私がどうしてもやりたかったのがスタジオを使っての撮影でした。
80年代から追っかけをやっていた友人の“ツーショットの鬼”村澤さんや安藤さんですらボックとの写真は無いとの事で、私が知る限りボックとのツーショットに成功したファンは日本にはいないのでは無いでしょうか?マルベル堂での撮影会はチームフルスイングさんの専売特許につきイベントとしては出来ないので、あくまで個人としてスタジオにお連れして撮影しようと思っていました。
他にどうしても行きたかったのが総持寺にある猪木さんのお墓参りですが、もし来日時期に東京で猪木展が開催されていれば是非案内したかったです。…と言うか、そもそもお金持ちのIGFがボックを呼んでくれたら私がこんな苦労する必要ないのですけどね(苦笑)。しかし、どうせなら猪木さんもボックもお元気だった時期に実現して欲しかったです。
あと、大切なのは出待ち(あるいは入り待ち)対策、まあ私自身も出待ち大好き人間ですが(笑)今でもよくいるんですよねえ、イベントには行かないくせに出待ちでサインやツーショット写真をゲットしようとする連中が。しかしそれを許してしまうとイベントで5万円(仮)もの大金を支払ってくれる人に申し訳が立たないので徹底ガード、例え顔見知りであっても心を鬼にするつもりでした。
ボック来日となるとメディアからも取材依頼が来るでしょうが、ここでも巨額費用の一部を回収の計画、但しお世話になっている“ドクトルルチャ”清水さんのGスピリッツだけは無料でこちらからロングインタビューをお願いします。一方、レジェンドにあまりリスペクトが感じられず、フォト自慢のページで何年も私を干している週プロのベースボールマガジン社にはしっかり5万円請求しましょう(殆ど私怨、笑)。

クラファンのサイン本が手元に届いたら、出版社を通じて正式オファーしようと心に決めていたところ、9月の初めにその出版社から衝撃的なメールが届きました。
以下、要約
「ボックさんに日本語版書籍に直筆サインを頂くべく、本国ドイツとやりとりを進めていたところ、予期せぬ残念な事態が起きてしまいご連絡を差し上げました。
ボックさんは体調を崩され入院をした(7月~)との事で、サインの対応が難しい、またご家族の意向でこの件は口外しないで欲しいと言う事でした。一刻も早いご回復を願い、暫く様子を見させて頂く事にして先日改めて確認したところ、やはり依然として容態が悪く今後好転の可能性が低い為、日本語版へのサインは中止にして欲しいとの回答を頂きました。
(中略)つきましてはクラファンで設定したサイン本コース88000円から書籍一冊(既に送付済みのサインなし)3850円を差し引いた84150円をご返金させて頂きます。
(後略)」
因みに私が頼んでいた88000コースの内容は正確にはサイン本、サインなしの通常書籍、沢田さんによる電子書籍の解説書(ある意味本書以上の凄い貴重資料満載!)、特製トートバッグ、書籍に個人名掲載と言う内容で、サイン本以外は7月に届いていました。
これとは別に通常書籍、解説書、書籍に名前入れの33000円のコースがあり、今回サインが無くなったと言う事はこのコースと同じ内容になった事になります。
それならば返金は88000-33000で55000円でも良いわけですが、私を含め申し込んだ10名は書籍に自分の名前が入れたいというよりサインが目的なので、通常本の代金のみの差し引き、電子書籍&トートバックは待たせた事へのお詫びとしてのサービスとなったようです。出版社のこの対応には非常に誠意を感じました。

とにかく、サインも出来ないような病状では来日どころの話ではありません、このメールが届いた瞬間私の頭の中で散々膨らんでいた「来日プロジェクト(仮)」は本当にただの妄想となってしまいました。そしてボックの年齢から言っても半ば覚悟を決めてはいましたが、
12月19日にとうとう訃報が届き、ご冥福を祈るとともに最後の来日が間に合わなかった事に申し訳ない気持ちで一杯になりました。
まあ、もし来日が実現していたら私は全財産の大半を使い果たし、ボック来日中は極限レベルの緊張の毎日だったはずですから、一気に肩の力が抜けたのは事実ですが…。

クラファン開始時、熱きメッセージを送ってくれたボックと原書著者のアンドレアス・マトレ(写真提供:沢田智氏)

後日聞いた話、2024年夏に日本でクラファンが始まる時には応援メッセージを送ってくれたボックでしたが、それから約一年、日本語版書籍がようやく手元に届いた時には認知出来なかったと言うのが何とも悲しいです(涙)。
正月休みに改めてサインの入らなかった自伝をパラパラと読み返しながらボックに思いを馳せていましたが、恐らく天国で猪木さんとの再会、そして決着戦も実現した事でしょう。
日本のマニアは貴方の事を決して忘れません、私があちらに行く約30年後にお逢いできるのを楽しみにしています…。