FILE No. 981 「幻の来日プロジェクト(1)」~“地獄の墓堀人” ローラン・ボック 追悼記念~

「幻の来日プロジェクト(1)」~“地獄の墓堀人” ローラン・ボック 追悼記念~

前回で2025年のネタは全て終わったと書きましたが、実は年も押し迫った12月19日に“地獄の墓堀人”ローラン・ボックが亡くなったと言う、辛い知らせが届きました。
(81歳没)
昨年6月、ドイツのシュツットガルトに企業視察に行った際、「シュツットガルトの惨劇」と呼ばれ伝説と化しているアントニオ猪木VSローラン・ボックの死闘が行われた跡地を訪れました(File No.948956 参照)。

ここで時計の針を昨年の7月に戻します。
シュツットガルト視察&ローラン・ボックに関して、超大作となったブログを書き終えた頃、タイミング良くボックの日本語版自伝が手元に届きました。
ブログに記したようにこの本は元々ドイツで出版されたもので、超マニアの沢田智さんが原書を入手し翻訳、クラウドファンディングで資金を集め日本語版の出版にこぎつけた物です。
クラファンには出資金額に応じて様々なリターンがあり、私はボックの直筆サイン本コース(10名限定)に申し込んでいました。この機会を逃せばまず入手不可能なお宝、サインなしの通常本は届いたもののこちらはいつ届くかを沢田さんに問い合わせたところ、完成した日本語版自伝を日本の出版社からオーストラリアにある原書の出版社に発送 → そこからドイツ・シュツットガルトのボックの自宅に転送 → サインを入れて貰い、また同じルートで返送と言う長旅となるので、これはもう気長に待つしか無いと言う事でした。

クラファンの目玉は10名限定、ボックの直筆サイン入り(写真提供:沢田智氏)

何とか年内には届くと良いなと楽しみに待ちながら一方で私の中でどうしても一目ボックに逢いたい、出来れば来日して欲しいと言う欲求がどんどん高まって来ました。
はるばるシュツットガルトにまで行きながら逢えなかったボック(連絡先も住所もわからないので当然)、誰も呼ばないのなら自分の手で日本に呼べないかと真剣に考えだしたのです。 
…と簡単に書いていますが考えても見てください、もしご本人からOKが出たとしてもドイツから日本までの往復の飛行機代(当然ビジネスクラス)、それもボックは車椅子の生活なので何方かご家族が付き添う事になるので二人分は必要です。知り合いの旅行社の方に軽く聞いてみたところ、「時期にもよるが」の前置き付きですがやはり(一人分で)三桁は行く金額でした。
これに宿泊代(かつて新日本外国人選手の定宿・新宿京王プラザかドームホテルを想定)や食事代を加えると恐ろしい(汗)、とても私一人の手には負えないので沢田さんのようにクラファンを考えましたが、ちょっと冷静になるととてもそれだけの金額は集まりそうもない事は容易にわかりました。ボック来日費用捻出のクラファンですから協力してくれる人へのリターンは当然、ご本人に逢える事や直筆サインなどですが、仮にイベント(ミート&グリート)参加の特典を付けるにせよ、かかる総額からすれば1人5万円ぐらいの出資となり出してくれる人はせいぜい10~20人ぐらいでしょう。それに何しろボックはご高齢、どんなアクシデントがあるかわかりません。皆様からお金を預かっておいてイベント、あるいは来日そのものが土壇場で中止になったらと想像すると背筋が寒くなりました。
結局クラファンは止めて、私自身の責任で、長年額に汗して働きコツコツと貯めてきた老後の為のヘソクリを使おうと決断したのです。
決してロッシー小川氏がマリーゴールド旗揚げに貯蓄を吐き出したのを見習ったわけではありませんので(笑)。 
ま、お金なんて所詮天下の回りもの、「地獄の墓堀人」(*著書によるとボック自身はこのニックネームが嫌いだったそうです)ではないですが、どんなに貯めてもお金は地獄までは持っていけませんから適度に使うべきです(笑)。
何でそこまでしてと大笑いで馬鹿扱いされるでしょうが、私自身が一度で良いからお逢いしたかった事は勿論、著書を拝読して改めてボックが日本に深い思い入れを持っている事を痛感、どうしてももう一度だけ、そして恐らく最後になるであろう日本の土を踏ませてあげたかったのです。

かくして立ち上がった「ローラン・ボック来日プロジェクト(仮)」…ノートに必要事項や予算を次々と書き出して行きました。
先方へのオファーはギャランティは支払えないが飛行機、宿泊、食事代は全てこちらで負担するので来日が可能か?
もしOKの返事が頂けたらイベント開催日は「シュツットガルトの惨劇」48周年となる2026年11月25日と決めていました。従って来日スケジュールは11月25日を挟んだ前後約一週間を想定しました。
何処かの貸会議室か闘道館でも借りてイベントをやるなら、内容は当然サイン会&撮影会とミニトーク、問題は料金設定ですが、いくらヘソクリを吐き出すと言っても多少は回収したい(それでも焼け石に水)、そうなるとやはり一人5万円になります。こんな高いイベントは前代未聞で、友人に「もしボックが来日して5万円のイベントがあったら行く?」とさりげなく聞いたらパスと即答されました(笑)。
しかしイベンターでもないヨカタの私が仕切るのは大変そうなので、むしろ少ない人数でこじんまりとした感じでやりたいのが本音で、この値段でもボックに逢いたい!と言う人だけ来てくれたら良いのですよ。だから告知も顔の見える人を中心としたフェイスブックのみにするつもりでした。あっ、敬意を表してボック自伝の沢田さんだけは無料ご招待する気だった事を記しておきます(笑)。
大事なのは言葉の問題、英語も苦手、ましてやドイツ語など全く分からないので通訳をネットで探したところこれまた結構高くつくと判明、しかしこれだけは欠かせません。
まだ正式にオファーしてOKの返事を貰ったわけでも無いのに、「来日プロジェクト(仮)」はどんどんと膨らんで行きました…。

(次回に続く)