FILE No. 1011 「理想と現実(1)」

「理想と現実(1)」

恒例の奈良県生駒市の実家の断捨離シリーズ? 今回は私の部屋では無く、亡くなった親父の持ち物のネタです。
我が家の親父がまた整理整頓を全くしない人で、会社に来なくなった時にこれまで使っていた会長室を私の部屋にしたのですが、まあどう考えても不要な物が出て来るわ出て来るわ…。何年も前のメーカーからの会合の案内やら月次試算表、取っておく必要の無い物を片っ端から捨てたものでした。
会社ですらそんな調子でしたから実家も推して知るべしですが、遺品整理をしていたら一枚の新聞のスクラップ記事が出て来ました。
それは今から34年も前、1992年(平成4年)に我々の業界紙である包装タイムスに掲載された、親父殿のインタビュー記事でした。

以下完全再現してみましょう。

岐路に立つ包材ディーラー ~高収益企業への道~

食品軽包装資材を扱う包材ディーラーでは、営業員一人当たりの月間売り上げ高は平均600万円前後と言われている。受注から配達、集金までを一人でやってのけるにはこの数字が限界なのだろう。
情報提供をはじめとするサービス面の向上がディーラー間で叫ばれて久しいが、実際はそこまで手が回らない。本格的な人手不足時代に直面している昨今、現状の営業員の人数で高収益を確保する手段は果たしてあるのか否か?
「営業員の平均売り上げ高が2500万円」と言う、タミヤ(大阪市鶴見区)の田宮一成社長に話を聞いた。

33年前の包装タイムスより

(営業員と配送員を完全に分けていると聞くが?)
「受注のオンラインシステム機能を充実させている。現在ではユーザー(得意先)、メーカー(仕入先)35社と回線を結んでいるので、原則的に電話や訪問などによる受注は無い。
あるにしても全体の一割未満だ。従って、当社の営業は本来の仕事である”情報提案型“の営業活動に専念できる。」
(オンラインに投資しただけ人員削減を図るのではなく、提案型の営業に専念させる、と。)
「私は営業に対して、“営業はユーザーに情報提供しろ”と口を酸っぱくして言ってきた。
だから当社の営業は注文は取らないし集金にも行かない。ただひたすら提案を行うだけだ。
変化の激しい時代だからこそユーザーの求めているモノを素早く察知し、それを提供していく事が必要だ。それを続けていく事でユーザーとの間で太い信頼のパイプが生まれる。」
(それが企業収益に結びつくのか?)
「必ずしもそうとは言えない。やはり営業一人一人がその意味を十分に理解し、売り上げ目標に向かって挑戦してこそ企業としての利益が確保できる。
見方を変えればそれだけの人材及び資金を投資しているのだから、これは企業としての挑戦と言えるだろう。こうした当社の取り組み自体は他の業界ならむしろ恐らく一般的な事であり、こうした事を実行していないのは包材ディーラーぐらいだろう。」
(価格競争と言う業界の体質については?)
「製品価格はあくまで二次的なものと考えている。基本はやはり売り場に適した製品の安定供給と情報提案ではないか。ダイエーの中内氏の説くように、価格はメーカーが決めるものでは無く相場が決めるものだ。安売りをする必要は無いし、そもそもPSPトレイなどは高い安いで商売する類の商品ではないと思う。」
(価格競争を避けて収益性を高める方法はあるのか。)
「製品価格と言う一面的な見方をしていたのでは、いつまで経ってもその実現は不可能だろう。情報・物流・価格などトータル的な面でユーザーにどれだけ満足感を与えられるかが重要だ。その結果、満足してもらえれば多少のコスト差は問題ではなく自然に採算に合うようになる。」
(包材ディーラーは商品物流と言う大きな役割を担っているが、御社が建設中の配送センターについて。)
「東大阪市に約800坪の敷地を用意し三階建ての配送センターを建設中でこの6月に完成予定だ。規模としては現在の約2倍で本社機能もこちらに移す。
今回は特にピッキング作業が効率的に行えるように配慮した。私共は同時に取り扱いアイテムの絞り込みにも乗り出す。現在は10000アイテムを超えるが最終的には4000アイテムにまで絞り込む。
コンピューター管理により定番商品は常に揃えてある状態にし、即納体制を構築する方針だ。」

その頃、私はリスパック東京支店で修行中の身でしたが、上司だった内藤さん(当時部長)が「お父さんのインタビュー記事が載っているよ。」と見せてくれて当時も読んでいたのを思い出しました。

(次回に続く)