FILE No. 814 「ブルークリスマス」

「ブルークリスマス」

早いもので2022年もあと一週間足らず、今回が今年最後の更新となります。

恒例の誰も知らないB級マイナー作品紹介シリーズ、週末がクリスマスなので、1978年末東宝系で公開の劇場用作品「ブルークリスマス」をお届けしましょう。

78年作品「ブルークリスマス」
(公式パンフレットより)

もっとも44年前は私もまだ中学1年生、残念ながら劇場では観ておらず、その何年後かのテレビが初視聴だったと記憶しますが、長いストーリーをごく簡単に(全て語っていると来年になってしまう 笑)紹介致します。

世界各地にUFO(未確認飛行物体)が出没、そこから放たれる光を浴びた人が血液が青色に変化すると言う怪現象が起こりました。
単に血が青くなったと言うだけで外見上は何も変わらないのですが、世界各国の政府はこの事実を隠蔽、日本においてもスクープを狙って報道しようとした国営放送のテレビ局員が政府から局にかかった圧力により海外支局に左遷させられ、また彼が取材の為に追っていた、UFOと青い血の関係を調べていた大学教授も何者かによって拉致されます。
そしてその背景には世界中で爆発的に増加し続ける青い血の人間に対する、ある恐ろしい計画が隠されていたのです・・・。
「彼らは血の色が違うだけで害毒も無い同じ人間なのに何故!?」
「現時点で害は無いが青い血の人間が人類の大半を占める将来、脅威となる可能性は否定できない。」
(劇中の登場人物の台詞より)

日本政府は国会で血液総点検法案を強行採決し全国民の血液のチェックを開始して青い血の人間をあぶり出し半強制的に海外に連行、そこでロボトミー手術(脳手術)を施し植物人間にしていましたが、一方で青い血の持ち主である事が判明しながら意図的に放置されていた人も一定数いました。
「青い血は人類の敵なんですか!?」
「そんな証拠は何処にもない。だが、そうでない証拠も何処にもない。つまり青い血に関する限り、将来への予測が全くついていない。その時地球の指導者たちは最小限安全な手を打つしかない。つまり青い血を敵視する事、人類全体が青い血に対して恐怖を持つように仕向けていく事、それがこれまで歴史的に見て政治家たちがとって来たやり方じゃないですか。」
(劇中の登場人物の台詞より)

「常に最悪の事態に備えよ」こそ政治の鉄則とばかり全世界共同でこれまで泳がされていた青い血の人間の一斉虐殺が決定、そのXデーは12月24日、クリスマスイブの夜8時(日本時間)でした。
国防庁の特殊部隊員の沖(演・勝野洋)はその計画の実行部隊の一人でしたが、実は彼が結婚を誓った恋人、冴子(演・竹下景子)は青い血の持ち主でした。
彼女が殺害対象リストに入っている事を知った沖は計画決行前夜の23日、外出&外部との連絡禁止の宿舎から真夜中に赤電話で(携帯電話の無い時代!)逃げるよう伝えようとしましたが電話が止められており未遂、他の人間に殺られるぐらいなら自分がと覚悟を決めます。

白い雪の上に流れる青い血、切ないラスト・・・
(公式パンフレットより)

そしてイブの夜、何も知らずクリスマスパーティの準備をして彼が来るのを待っていた冴子の家を訪ね何も言わずいきなり銃を乱射!その同時刻に日本及び世界各地で一斉に青い血の人間の虐殺が決行されていました。
自らの手で愛する人を射殺した沖は半狂乱状態で家の外に飛び出し他の隊員たちに銃を向けて逆に一斉射撃されます。
最後の力を振り絞って玄関まで這って来た冴子の身体から青い血が白い雪上を流れ、沖の身体の赤い血に辿り着くラストシーンが何ともシュールでした・・・。

東宝と言えばゴジラですが、この作品のコンセプトは「特撮を一切使わないSF」、しかしそれがかえってリアルな臨場感を醸し出しています。
私もこのブログを書くにあたり今回10数年ぶりに観ましたが、やはり面白いものは何度観ても面白い、是非クリスマスの夜の視聴をお勧めします。
全く余談ですがこの映画公開の9年後(87年)、当時TPG(たけしプロレス軍団)によるアントニオ猪木への挑戦が話題になっていたのですが、東京スポーツを読んでいたら軍団の一人(誰だったか忘れた)が「猪木のクリスマスをブルークリスマスにしてやる!」
とコメントしていました(笑)。

来年もまだまだ誰も知らない?どマイナー作品を紹介していきますのでこうご期待下さい。
それでは皆様、良いお年を!!

 ※2023年は1月6日(金)が初更新となります。