FILE No. 867 「極底探検船ポーラーボーラ」

「極底探検船ポーラーボーラ」

2024年度初の誰も知らない?B級マイナー作品紹介シリーズは年末に鑑賞した「極底探検船ポーラーボーラ」(原題・最後の恐竜)をご紹介します。
1977年(昭和52年)に公開された、アメリカのランキン=バスプロダクションと我らが円谷プロダクションの日米合作のSF特撮映画ですが、私の初見は残念ながら劇場では無く「ゴールデン洋画劇場」の枠でテレビ放映された時でした(1979年5月4日)。
当時はウルトラシリーズ(ウルトラマンシリーズに非ず!)&特撮映画にはまって、将来は円谷プロに入社したいとまで夢見ていた(塾の課題の作文にもそう書いた 笑)時期だったので大変興味深く視聴しましたが、私の知る限りこの作品がテレビ放送されたのは後にも先にもこれ一度きり、地上波はもとよりBS、スカパー!でも放送の機会が無く、もう一度観たいと思いつつ44年もの長い月日が流れてしまいました。
調べると2009年にDVDが発売されており、遅まきながら入手しようとメルカリやヤフオクをチェックすると中古品でも2~3万円もの値が付いていて愕然!それぐらいレア度が高いのでしょうが、貧乏人の私にはこれでは手が出せないなあと粘り強く探していたら、ある日1万円以下(それでも発売時の定価の倍)の物を発見、ここで妥協してゲットしました。

なんせ44年前に一度観たきりなので内容を殆ど覚えていませんでしたがストーリーをごく簡単に話すと、主人会は大企業の社長でハンター、彼の会社は油田開発を目的に北極圏を地底探検船ポーラーボーラ(別名レーザードリル)で探索していましたがそこで偶然、太古の恐竜や原始人の生息する秘境を発見しました。探検隊のメンバーは恐竜によって一人を除いて全滅しましたが、唯一生き残って戻って来た隊員の報告を聞いた主人公はハンターの血が騒ぎ、案内役の生き残り隊員、女性カメラマン、生物学者の有志たち総勢5名でポーラーボーラに乗船、恐竜狩りに出発すると言うSFアドベンチャー作品なのです。
主人公はあくまでも恐竜を倒す事に執着、ネタバレになりますが最後も元の世界に帰る他のメンバーの説得を無視し秘境に残留する道を選びます。映画の原題である「最後の恐竜」は劇中に出て来る恐竜だけではなく主人公の事でもあったと言う味わい深いオチですが、これってこれまた私の大好きな作品「戦国自衛隊」の伊庭(演・千葉真一)を連想させます。

幻の名作DVDを入手!

彼の場合自ら志願したわけではなく偶然、戦国時代にタイムスリップしてしまったわけですが、やがてそこで武器があっても戦えない現代よりこの時代に生きていこうと目覚めるという…書いていたら興奮して来た、今度は久々に「戦国自衛隊」を観よう(笑)!

「ポーラーボーラ」に話を戻すと見所は何と言っても特撮シーン…実はこの直前、公開中の「ゴジラ」最新作を観て来ました。現在の技術を駆使したリアルな特撮に目が慣れてしまった今、45年も昔の作品を観るとどうしてもチャチに見えてしまったり、粗が目立つのは致し方ないところですが、それでもCGに頼らない、世界に誇る円谷プロの技術は圧巻です。
テレビ放送時は森山周一郎さんが主人公の声をやっていたのですが、DVDにはそちら日本語吹き替えバージョンも収録されていたのが嬉しい限り、実は私、1作目の「ザ・ハングマン」のナレーション以来、森山さんの渋い声が大好きなのです。
そしてこれは当時気が付きませんでしたが、原始人の女を演じているのは後に「特捜最前線」で高杉婦警を演じた関谷ますみさんではないですか!
因みに関谷ますみさんは千葉県柏市の出身で女優業引退後は地元でベルギーチョコレートの専門店&旅行代理店をやっていたそうで、地元の同業、川和さんの社長から「今でもお綺麗だよ。」と聞いていたので一度訪ねてみようと思いつつ随分時間が経ってしまいました。

映画のタイトルでもある探検船のポーラーボーラ号、設定では全長5mで5人乗りとなっており、大きなドリルが機体の半分を占めるその形状(ジャケット写真参照)は「ウルトラマン」第29話「地底への挑戦」に登場するベルシダーを彷彿させます。
でもこれで恐竜のいる世界に行くってあまりにも無謀…昨年6月、タイタニック号の残骸を見学する為に潜った全長6mの潜水艇が大破した不幸な事故がありましたが、そのニュースを耳にした時ポーラーボーラを連想しました(苦笑)。
ウルトラシリーズでも前述のベルシダー、「ウルトラマンA」のダックビル(第5話「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」)、「ザ・ウルトラマン」のパッセンジャー号(第5話「パッセンジャー号地底突破!」…地底戦車は必ず地中で遭難するのが定番、ウルトラマンがいなければ乗員全員死亡間違いなしの展開ばかりでした。乗るなら「ウルトラセブン」のマグマライザーがまだ一番優秀と思われます(笑)。
ポーラーボーラは実物大5mの模型が実際に作られ、湖面に浮くシーンはロケ地である長野県上高地の大正池で撮影されたそうです。
それ以外にアルミ製の小サイズ、FRP製中サイズ、ベニヤの大サイズのミニチュアが使われましたが、このうちベニヤの大サイズを某スタッフが譲り受けて持ち帰ったところ、祖母によって植木鉢にされてしまった(お宝をなんて事!)と言うエピソードが笑えますが、
私はあの形状がどのように植木鉢に変身したのか、そちらの方が気になります(笑)。

今年もまだまだ誰も知らない?作品を引っ張り出して来ますのでご期待ください。