FILE No. 875 「マタンゴ」
tamiya
「マタンゴ」
３月更新のブログ、今月は弊社の第５０期の最終月です。おかげさまで業績は好調、恐らく売り上げ、利益とも会社始まって以来最高水準に達しそうですが、最後まで気を抜かず頑張ります。
さて、春は目前、心なしか３月に入って幾分寒さが和らいだ感もありますが、寒い季節はやはり鍋料理が最高、最も鍋大好きの私は暑い寒いに関係なく一年中鍋奉行しております（笑）。寒い冬は勿論の事、真夏に冷房の効いた部屋で鍋をつつきながら飲むビールは最高、近所の居酒屋の鍋メニューが美味しくて春夏秋冬関係なくほぼ毎週食べに行っています。
そのお店で特にお気に入りがヘルシー感溢れるキノコ鍋ですが、そこで今回はキノコを食べながら是非観て頂きたい？傑作Ｂ級映画「マタンゴ」の登場です。
１９６３年（昭和３８年）に公開した「マタンゴ」は東宝制作による特撮ホラー映画ですが、当然私はリアルタイムで観ているはずもなく（生まれてないので！）テレビだったか、レンタルビデオだったか記憶は定かで無いものの、とにかく実際に視聴したのは特撮マニアと化した８０年代前後の事でした。
その「マタンゴ」が昨年末にスカパー！でオンエアされ、恐らく４０年以上ぶりに再見できましたので以下、簡単にストーリーを紹介しましょう。
物語は、東京のキ〇ガイ病院の独房に閉じ込められている主人公の青年（演・久保明）が、過去の恐怖体験を振り返る場面から始まります。
主人公を含む７人の男女はある日、ヨットで海に繰り出し防雨風に遭遇します。
嵐はやんだものの船は操縦不能になり無電も使えず、水や食料も底を尽きかけていました。あてもなく何日も漂流し死を待つだけと覚悟していたところを船は白い霧が流れる無人島へと漂着しました。狂喜して島に上陸した７人は人間の足跡らしいものを見つけ密林を抜けて海岸に難破船を発見しました。中は無人で人の死体すら無く、少量の食料（缶詰め）がありました。果たして乗組員たちは何処に消えたのか？ 彼らが発見した航海日誌には「船員が日々消えていく」「キノコを食べるな」と言う警告と「マタンゴ」の文字がありました。島に豊富に生えている謎のキノコ「マタンゴ」が原因で乗組員が全滅した事を察知した７人は、当初は生き残る為に協力を誓い合いましたが、飢餓と恐怖の極限状態から次第に理性を失い、エゴと欲望をむき出しにして対立していきます。
やがて彼らは飢えに耐えられなくなり、一人、また一人と警告を無視して禁断のキノコに手を出していきました。そして、マタンゴを食べた人間は次々とマタンゴ怪人へと変身していくのです。
ただ一人、誘惑に負けずキノコを食べなかった主人公は次々と襲い掛かってくるマタンゴ怪人（かつての仲間たちのなれの果て）からも逃れ、命からがら修理したヨットで島を脱出し救助されたものの、冒頭に記した通り狂人扱いされて病院送りとなります。
「こんな扱いを受けるなら自分もキノコを食べて島に残れば良かった」と後悔する彼の顔には既にマタンゴが生えつつありました…。
（朝日ソノラマ「宇宙船」８０年９月号より）
見所は何と言っても全編通して描かれる謎の生物マタンゴ及びマタンゴを食べてしまった人間が変身したマタンゴ怪人の不気味さで、６０年前の作品とは思えぬ程の秀逸ぶりです。当時興行的にはヒットとはならなかったもののSFやホラー映画のマニア筋の評価は高く、海外でも根強い人気があるそうですが、この映画の最大の罪？それは観た人（特に子供）をキノコ嫌いにさせてしまった事です。
私がかつて購読、今回も大変参考にさせて頂いたＳＦ特撮専門マガジン「宇宙船」（朝日ソノラマ）の特集では幼少期にこの映画を観て「キノコがどうしても食べられなくなった。」「お願いだからマタンゴの特集だけは止めてください。絶対写真は掲載しないで。」と言う読者からの切実な投稿が紹介されていて思わず笑ってしまいました（笑）。
著名人や映画関係者にも俳優・斎藤洋介氏（故人）、女優・高橋厚子氏、映画監督・スティーブン・ソダ―バーグ氏、お笑い芸人・板尾創路氏と、子供の頃にこの映画を観たトラウマでキノコを受け付けなくなった人のコメントが多数確認されていますが、こんなのは氷山の一角、実際、主人公を演じた久保明さんも後々色々な場所で多くの人から同じ事を言われるそうで、日本の子供たちの栄養問題を考
えると「マタンゴ」は何とも罪作りな作品です（苦笑）。
子供の頃に受けたトラウマはやはり強烈ですが、私の場合この作品を観たのが前述の通り８０年代、もう中高生に差し掛かった頃だったのが幸いでした。
もし多くの被害者？たちのように幼少期にマタンゴの洗礼を受けていたら…私もキノコが食べられない身体になっていたかもしれません。因みに一番好きなのは松茸ですが（誰か食わせてくれ 笑！）、鍋に欠かせないしめじやえのきだけ…毒キノコ以外なら何でも大好き、こんな美味しい物が味わえなくなるなんて何と不幸な事でしょう。
と言うわけで、「マタンゴ」を観ながらキノコ鍋で乾杯！！
