FILE No. 921 「人を大切にする経営」
「人を大切にする経営」
本日1月24日は赤井沙希ちゃん&前田日明さんのお誕生日(拍手)、当ブログはそれとは全く関係ない、しかも珍しい?真面目なビジネスネタです(笑)。
昨年ビジネス雑誌で拝読した、株式会社日本レーザーの近藤宣之会長のインタビュー記事が非常に素晴らしかったので要約してお裾分け致します。30期連続黒字を成し遂げた同社が取り組む「人を大切にする経営」とは?
(オーナーズ株式会社「経営と人生」2024年10月号より)
「人を大切にする経営とは何かは人によって解釈が異なると思います。給与が高く労働時間が短く、福利厚生が充実している事を人を大切にする事だと考える人もいるでしょう。
ただ、そこだけ注力しても会社の経営がうまくいかなければ最終的に雇用は不安定になってしまいます。私は「人を大切にする経営」を「社員の雇用を大切にする経営」と定義しています。中でも最も重要視しているのが生涯雇用で、定年は60歳と定めていますが、能力・意欲・健康面に問題が無ければ70歳まで再雇用出来ますし、将来的には80歳まで働けるようにしたいと考えています。
近年はリストラや早期退職などのニュースが後を絶ちませんので社員にとっては雇用が一番の安心材料になります。当社には年収を減らしてでも大手企業から入社する優秀な人材がいますよ。
優秀な人材を採用出来る理由はもう一つ、会社の都合を優先しない事です。
企業は配置転換を会社都合で決めるのが一般的なので、社員は何処で働き、どんな仕事をするか、つまりキャリアを会社に一任しています。しかしこれは年功序列や終身雇用と言う保証があったから成り立っていたものでそれが崩壊してしまった今、同じやり方をしていては社員が会社から離れていきます。当社は100%本人の希望を優先していますので、優秀な人材を採用出来ますし、人が辞めないのです。
本人の希望を全て優先する事はなかなか出来ないと言う声をよく聞きますが、人を大切にする経営とはそれぐらい大変で覚悟が必要なのです。
会社の利益を生み出す源泉は社員のモチベーションですが、社員が会社から大切にされていると感じモチベーションが向上すれば必ず業績に反映します。よく「利益が出たら社員を大切にしたい」と言う経営者がいますが、それは全く順序が逆です。
近藤氏の会社、日本レーザーは元々、一部上場企業である日本電子株式会社の完全子会社でした。近藤氏は28歳で日本電子の労働組合の執行委員長に就任しましたが、オイルショック等による業績不振時には全社の3分の1にあたる1000人規模のリストラに立ち合い、経営が盤石で無ければ社員の雇用を守れない事を思い知らされ、大きなショックを受けました。
その後、94年に子会社の日本レーザーの社長に就任したものの当時の同社は累積赤字が膨らみ倒産寸前の状況、組織もばらばらでした。近藤新社長は粗利益重視の経営に注力、実力主義の評価制度の導入などを取り入れ就任後1年で黒字化、2年目には累積赤字を一掃する手腕を発揮し会社を甦らせる事に成功しました。
しかし日本レーザーはあくまでも日本電子のグループ会社、その為経営の自由度は低く、近藤氏には自分の任期が終わり親会社から新しい社長が来ればまた元通りになってしまうのでは?と言う懸念が常にあったそうです。そこで一大決心、社員と相談しMEBO(経営陣と社員が一緒になって親会社から株式を買い取る方法)を決行、2007年、同社は晴れて親会社から完全独立しました。
「私は社長就任時から全社員の前で誰一人解雇はしないと宣言、その後も雇用を守るには利益が必要だと言い続けて来ました。企業経営は結果が全て、どんな立派な理念を掲げても赤字になって結果的に社員を犠牲にしたら経営者失格です。だから絶対に利益を出し、税金を納める事が最低限の条件で赤字にする事は経営者にとって犯罪であると言うぐらいの自覚を持つべきです。勿論外的要因などで危機的状況に遭遇する事もあるでしょうが、それを他責では無く自責として捉えどうやって利益を出すのかを考えるのが経営者の役目です。
もう一つ、経営者は自らの夢や志を可視化して伝える事が大事です。当社で言えば「社員の生涯雇用を守り成長を提供する」、私はこれを社員たちに繰り返し語っていますし、ホームページに掲載するなど周知しています。経営者の想いが社員に浸透すれば優れた社風が出来上がり、組織に一体感が生まれ強い会社となります。但しそれを語って組織を引っ張る時、やはりベースには人を大切にする経営が必要です。それが無いと誰も聞く耳を持たないしついて来ないからです。そして何より本気で会社を変えるには社長自身が変わるしかありません。これが会社を変える第一歩です。」
改めて読み直して見ると耳の痛い部分が多数ですが(苦笑)いかがでしたでしょうか?
当社に当てはめてみると、100%本人希望の配置転換に関してはまだまだ出来ているとは言い難いのが現実、ただ生涯雇用に関してはかなり融通を効かせている方だとは思います。人を大切にする経営により会社が利益を上げ、それをまた人に投資する、この好循環こそが理想の姿です。そして経営は結果が全て、その事を改めて肝に銘じて頑張ります。
珍しく固い話が続いたので肩が凝りました(笑)、未だ昨年10月のネタを積み残して
いましたので最後にまとめてご紹介します。
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