FILE No. 1003 「幻の参戦メンバー」

「幻の参戦メンバー」

このポスターの元ネタがわからない奴はニワカ(笑)!

今週も続く6月ネタ、21日は大阪を拠点に活動する自称“世界のローカル3流レスラー”Gamma(ガンマ)選手のデビュー30周年記念自主興行を観戦しました。
昨年6月の自主興行で杏ちゃむちゃんを呼んでくれたのですが、私はその時ドイツ&フランスを視察中で観戦出来ず(涙)…二年連続のブッキングに感謝です。
まだ寒い2月の中旬、Gammaさんとマッチスポンサーの打ち合わせで天王寺の喫茶店でお会いしました。
参戦メンバーもまだ確定していない段階の仮のポスターを頂きましたが、
「私は既に数十人のレスラーを確保した」「近日中に驚異のメンバー発表!!」
何処かで聞いたこのフレーズ、まさにこれは第一次(旧)UWFの旗揚げオープニングシリーズのパロディじゃないですか!!
私が激しく反応するとGammaさんも「いや~、嬉しいですね、誰もわかってくれなくて…」と大喜びでした。

UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)は1984年に新間寿氏(元新日本プロレスの専務取締役営業本部長)が設立したプロレス新団体です。
前年(1983年)の8月、新日本プロレスにクーデターが勃発、追放された形となった新間氏がリベンジの為、アントニオ猪木の受け皿として水面下で新団体旗揚げを画策、当時は新日本プロレス、全日本プロレスしか無い時代だったので、文字通り日本に“第3団体”が誕生したわけです。
この時、猪木が「俺はすぐに動けないから後で参加する。」と新間氏に約束したと言うのが定説になっていますが(猪木は否定)年が明けた84年、出来上がったUWFのポスターにはレスラーでもない新間さんの写真がドーンと載り
「私は既に数十人のレスラーを確保した」「私はプロレス界に万里の長城を築く」
「近日中に驚異のメンバー発表!!」の文字が踊り、参戦候補レスラーとしてアントニオ猪木、長州力、マサ斎藤…、さらに外国人候補としてアンドレ・ザ・ジャイアント、ハルク・ホーガン、ディック・マードックら新日本の主力選手の写真が堂々と掲載されており、物議を呼びました。

これが当時物議を呼んだUWFオープニングシリーズのポスター(※1)
チケットにも新間さん(※2)

ネット社会の現在なら炎上必至、本来なら新日本から営業妨害で訴えられても仕方ないところでしたが、そこまでしなかったのは猪木に何処か身内意識があったからか?
実際、新日本は旗揚げシリーズに藤原喜明(最終戦の蔵前のみ)とまだ若手だった高田信彦(全戦参加)を貸し出したのです。
結局ポスターの候補選手のうち、参加したのは藤原と高田以外には新日本を離脱して正式にUWF所属となった前田日明とラッシャー木村、剛竜馬のみで外国人に至っては誰一人いませんでした。
旗揚げ戦の会場ではメインの前田の試合中、看板に偽りと不満に感じた客席から猪木コールや長州コールが起こったそうです。
オープニングシリーズ終了後、猪木を呼べなかった責任をとるとの大義名分で新間さんはあっさりと退陣、UWFは一人歩きを始めました。
お先真っ暗に見えましたがその後、新日本から藤原と高田の引き抜きに成功、さらに前年引退していた初代タイガーマスクの佐山サトルを獲得したのですから、結局時間差で最初の日本人候補レスラー10人のうち6人までは確保したわけです。
やがてUWFは原点回帰のプロレスとして独自のシューティング路線へと舵を切り、日本のプロレスの歴史そのものを変えていったのは周知の通りです…。

UWFの歴史を懐かしく思い出しながらGammaさんに「どうせなら参戦候補はイラストじゃなくて新日本、全日本、ノア、女子ならスターダム、マリーゴールド…etcの主力選手の写真を載せてくださいよ。」と突っ込むと「今そんな事をしたら大変な事になります!」(爆笑)。
だから各団体に駄目元で一方的にオファーだけは出せば良かったのですよ、それなら交渉中は嘘にはならなかったでしょう(笑)。
その後、杏ちゃむちゃんを始め正式に参戦メンバーが発表されましたが、インディとしてはかなり豪華な布陣でした。

会場となった和泉シティプラザ 弥生の風ホール

主役のGammaさんはCIMAと組んでザ・グレート・サスケ&スペル・デルフィンと戦うカードでしたが、ダブルメインと謳っているものの事実上のセミファイナル、トリは若い選手の6人タッグ戦でした。ご自身の30周年興行なのに奥ゆかしいです(笑)。
杏ちゃむちゃんの試合は株式会社タミヤプレゼンツとして、なにわ女子プロレスのレディせりな選手とのシングルマッチでした。
レディせりな選手はこの日が初めてのシングルとの事、杏ちゃんは何年か前に同じく大阪で同団体のフライングペンギン選手の初シングル戦、エナジャイズの牧野しおり選手(引退)のデビュー戦の相手も務めており、何故か大阪では新人育成的なカードが多いのです。
ゴングが鳴って試合開始、レディせりな選手はパワーは感じさせるもののやはり実戦経験不足を露呈、3分過ぎには杏ちゃんの寝技につかまり腕ひしぎ逆十字固めがガッチリ、まるでアントニオ猪木VSラッシャー木村のような攻防でしたが(私も例えが古いね 笑)必死にもがくものの動けなくなりました。
(げげっ、もう終わりか?まだ3分しか経ってないぞ!)とリングサイドで焦る私、
しかしそこは杏ちゃんもプロ、敢えてロープに逃がしてやる余裕を見せて暫し引っ張り、最後は再び寝技の体勢、今度は猪木がアンドレから世界初のギブアップを奪った腕折り固め(またもや古い! 笑)見事に横綱相撲で勝利しました(6分6秒)。この日は勝利者賞が渡せて良かったです。
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杏ちゃんを呼んでくれたGamma選手には、改めてデビュー30周年おめでとうございますのお言葉と、次回大会のオファーも宜しくとお伝え致します。そして勿論次回のポスターこそ参戦候補として各団体の大物の写真を使い「私はプロレス界に大阪城を築く」のフレーズを期待しています(笑)。
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<写真出典先>
(※1,2)『週刊プロレス』84年3月6日号(ベースボールマガジン社)