FILE No. 957 「鉄の爪一家の悲劇(3)」

「鉄の爪一家の悲劇(3)」
ドイツ&フランス視察編(と言うよりローラン・ボック特集!?笑)を延々と続けているうちに10月になってしまいましたが、まだ6月のネタを積み残しております。
6月28日、CSディスカバリーチャンネル(アメリカの衛星放送)の枠で「プロレス一家の悲劇」と題されたドキュメンタリー番組がオンエアされました。
昨年、映画「アイアンクロー」(File No.884 参照)が公開され話題となりましたが、今回はドキュメンタリーの形で“鉄の爪”フリッツ・フォン・エリックの一家に起こった数々の悲劇が克明に伝えられました。
呪われた一族と揶揄されたエリック一家についてはこのブログでも13年前に特集していますが(File No.265,266「鉄の爪一家の悲劇」参照)今回の番組タイトル「プロレス一家の悲劇」って私のブログの丸パクリですよ(笑)。
実は我が家はCSチャンネルの契約をしていないので当初は観られないと諦めていたのですが、甘井さん(元アントニオ猪木マネージャー)がわざわざダビングしたDVDを送ってくださり(ありがとうございます!)無事視聴する事が出来ました。
“鉄の爪”アイアン・クローで一世を風靡したフリッツ・フォン・エリックは生涯で6人の息子に恵まれました。長男のジャック・ジュニアが幼少期に事故死する悲しいアクシデントこそあったものの、次男のケビン・フォン・エリックを事実上の長男として5人の兄弟はすくすくと育ち、フリッツは引退時(82年)に意気揚々と「俺は5人の息子を全員世界チャンピオンにして見せる」と宣言しました。
しかし、ここからエリック一家の悲劇が始まったのです…。
幼少時の長男の事故を含め時系列に記すと、
1959年 長男 ジャック・ジュニア 事故死(享年6歳)
1984年 三男 デビッド・フォン・エリック 日本で急性ドラック中毒死(享年25歳)
1987年 五男 マイク・フォン・エリック 睡眠薬による自殺(享年23歳)
1991年 六男 クリス・フォン・エリック ピストル自殺(享年21歳)
1993年 四男 ケリー・フォン・エリック ピストル自殺 (享年33歳)
長男ジャック・ジュニアの事故死に関しては感電死とされていましたが、一部資料では水死(溺死)となっており、今回のドキュメンタリーで明かされたところによると友達の家に遊びに行く途中、高圧電流の流れた鉄条網に触れてしまい水溜まりに倒れたと言うのが真相だそうです。
また、三男ケリーは86年に起こしたバイクによる交通事故で右足首を切断、義足となった(当時は極秘事項)事が自殺の引き金となった事は有名ですが、事故後すぐに足を切断したわけではなかったとの事、87年にプロレスラーとして奇跡のカムバックを果たしたものの試合で足の古傷が悪化、最終的に義足にならざるを得なかったそうで、あまりにもやりきれない話です。
今回のドキュメンタリーで、映画「アイアンクロー」の制作がケビンらエリック一家に何の相談も無く決まったと言う事を知り驚きました。何ともアメリカらしい大らかさ(笑)、その為か映画に対してケビンはいささか批判的?
「素晴らしい映画だと思うが、訂正したい事もある。彼ら(亡くなった兄弟たち)の人生には価値がある。見過ごす事は出来ない…。」
具体的には尺の都合で六男クリスが登場しなかった事、ケリーが独身として描かれていた事、そして何より、これは映画を観た時私も感じた事でしたが、偉大なる父フリッツが息子たちを無理矢理プロレスラーにしたような印象を与える事が不満だったそうです。
「プロレス一家に生まれるのは王族一家に生まれ王位を継承するのと同じ事」(番組に出演したライターのコメントより)、ケビン自身は「元々プロレスラーにはなりたくなかった。」と前置きはしたものの「父は息子たちを無理矢理プロレスラーにしたのではない。」「自分で選択した道」「どんなに辛くてもプロレスは家業」と断言していました。
プロレスの部分を包材屋に置き換えるとまるで自分に言われているようでしたよ(苦笑)。
エリック一家には数々の悲劇がありましたが、たった一人生き残ったケビンが今も健在なのが救いです。
血筋は争えないの言葉通り、ケビンの二人の息子ランスとマーシャル、さらにケリーの娘レイシーも父と同じプロレスラーの道を歩み、呪われた一族のレッテルも遠い過去の事となりました。
現在は静かに余生を過ごすケビンの「いつかまた皆に逢える…。」の言葉で番組は終了しましたが、いつかケビンに再来日して欲しいものです。
最後の付録は6月終盤のツーショット集!(こちらをクリック)