FILE No.850 「馬鹿は賢くならず(1)」

「馬鹿は賢くならず(1)」

まだまだ続く7月ネタ、ちょうどこの頃は中古車販売大手のビッグモーターによる保険金不正受給問題がメディアを賑わしていました。
私もたまたま社長(当時)の記者会見をテレビでちらっと観ましたが、まあお粗末だった事、不正は社員が勝手にやった事で経営陣は知らぬ存ぜぬ、ゴルフボールを使って車体に傷を付ける行為を「ゴルフを愛する人(かくいうご本人も大のゴルフ狂だとか)への冒涜」とずれた発言…じゃあタイガー・ジェット・シンのサーベル攻撃はフェンシング愛好家への冒涜か(笑)!? 因みにシンのサーベルは模造剣につき実際には刺さりません、この事はかなり大人になってから知りました(苦笑)。
(File No. 396, 397「狂虎のサーベル」参照)
その後も勝手に除草剤を撒いて街路樹や植え込みを伐採したり、社内で横行するパワハラなど、まあ出るわ出るわ・・・売り上げ7000億、社員6000人もの大企業で今時こんなにも前時代的なブラック企業があるんだなと驚くばかりでした。
それに比べりゃ吹けば飛ぶような小さな会社でもうちはホワイトだなと自己満足に浸っていましたが…えっ、社員はそう思っていない!?ホワイトは言い過ぎでもせめてグレイと言ってください(苦笑)。
それにしても息子(当時、副社長)が部下に送った「教育教育教育」と「死刑死刑死刑」を連呼したLINEには腹を抱えて笑ってしまいました、こいつも相当のオキ○です(笑)。
まあ、私もリスパック時代、後輩社員の机の上に「馬鹿野郎!」と書いた紙を貼った暗い過去がありますのであまり人の事を言えた立場ではありません(汗)。後で女子社員に「田宮さん、やり過ぎですよ。」と窘められましたが言い訳をさせてください、お得意先からある商品(容器)の本体のみ、蓋は要らないと言う注文を頂き、私はその旨を念押しし、それを口頭だけでなく紙(受注票)に書いて後輩に手配の指示をしたのです。にも関わらずこの馬鹿、しっかり本体と蓋の両方を送り込み、得意先から私宛に怒りの電話、勿論蓋の方は返品を食らいました。これを馬鹿と言わず何と言えば良いのでしょうか!? まあ、今なら立派なパワハラ(当時はそんな言葉も無かった)、32年前の事を懺悔いたします(苦笑)。

話をビッグモーターに戻すと、救いようもかばいようもない話のオンパレードの中でただ一つ、社長が社員に送ったと言うLINEにだけは共感を覚えました。
「営業の適性が無い人はお客様にご迷惑をおかけするので絶対に放置してはいけない! お客様が意思決定される大事な要素は2つ! 
(1)接客したその営業が好きか嫌いか! 
(2)営業が言っている事が自分にとって損か得か! 
(1)は採用時に判断されていると思うので大丈夫だと思うが、(2)は馬鹿が言う事をお客様は絶対に納得されないので、これは結果で即判断してください!
馬鹿は年をとっても賢くならない!馬鹿=お客様の気持ちが分からない人!」

言い方はストレート過ぎて現代としてはアウトですが、「営業の適性が無い人は放置してはならない」「馬鹿は年をとっても賢くならない」これ、100%正論です(笑)。

前述のリスパックの後輩も営業職で採用されたものの、恐らくお得意先からクレームが頻発したのでしょう、適性なしと判断され工場に飛ばされ、何だかんだ言っても会社や上司はよく見ているものだと感心したものでした。
メーカーさんの話で思い出すのが、もう20年近く前、某容器メーカーの営業が「社長、うちの新商品を見てください!」と私のところにやって来ました。
サンプルを前にセールストークを繰り広げ、ひとしきり説明を聞いた後、私が何気なく「これ材質は何?」と質問したところ、これまで得意げに喋っていたのが突然フリーズを起こしたかのように固まってしまい(おいマジかよ!?)とこちらが絶句してしまいました(笑)。
それから一週間程過ぎたある日、また彼が懲りずに?新商品のサンプルを持って現れました。再び「これの材質は?」と質問すると今度は学習してきたつもりなのでしょう、
自信満々に「はい、ハ○スターです!」(ああ何処の会社かわかってしまう!笑)。
「…あのねえ、ハ○スターとかエ○スターってのは、君のところの会社が勝手に付けた名前でしょう、そんなプラスチック無いよ!」と突っ込み「君、頼むからユーザーには営業に行くなよ、会社の名に傷が付くから。」とダメ出ししてしまいました(笑)。
でも考えてみればリスパックで営業に出たての頃の私も似たようなものだったかもしれません(苦笑)、それどころかうちの社員もお得意先に行って似たような営業をしているかもしれないと思うとゾッとします。まさに「人の振り見て我が振り直せ」、だからと言って「教育教育教育」「死刑死刑死刑」を連呼してはいけません(笑)。
その某メーカーの営業もそれからほどなくして担当交代、その後工場に行ったと聞いて、ああやっぱりなと思いましたが、全国規模のメーカーの場合、人材も豊富で代わりはいくらでもいるので恵まれています。それに極端な話、独自の商品を持っている会社ならば営業が少々馬鹿でもクライアントは我慢して?買ってくれますので羨ましい限り、それに引き換え我々のような中小、それも問屋業となると取扱品は基本的に何処も同じなのでそうは行きません。品揃えや価格が同等レベルとなるとこれも極端に言えば窓口である営業担当の熱心さや対応力で全てが決まると言っても過言ではありません。だからこそ馬鹿を放置すると命取りとなるのです…。

                                     (次回へ続く)